皆さんこんにちは、昆虫スペシャルアドバイザーのオサダです。 現在は来期の昆虫イベントに向けて、様々な生体のブリードに追われる毎日を過ごしています。
我々には、昆虫マニアとしての「譲れない矜持」があります。 それは、イベントに来てくれたお客様に「昆虫図鑑で見たことがある、そのままのサイズ感や姿」を提供すること。
特に私たちのイベントで初めて外国産のカブトムシやクワガタを見るという方も少なくありません。その時、実物を見て「あれ、思ったより小さいな…」とガッカリしてほしくないのです。「うわあ!本物はこんなに大きいんだ!」という感動を届けたい。そこで、昆虫に興味を持ちこちら側の世界に足を踏み入れてほしい(笑)
見た目の良い個体に育てるには、幼虫時代にいかに栄養を与え、大きく育てるかが勝負になります。
運命の分かれ道「雌雄判別」
クワガタを大きく育てるための鉄則。それは「幼虫の段階でオスとメスを正確に見分けること」です。
- オス(Male): 特徴である大アゴや体を大きくするため、大きな飼育ケースや栄養価の高い菌糸瓶を使い、コストと手間をかけて管理します。
- メス(Female): オスほどサイズにシビアではないため、コスト削減も兼ねて小さめの容器で管理するのが一般的です。厳密にはメスのサイズも大きければ大きいほど良いのですが、同じ親から生まれたオスとメスをかけ合わせると血が濃くなる過ぎてしまう事もある為、メスのみ外部調達して近親相姦を避ける事があります。ですから、メスのサイズはあまり気にしない事が多いです。
この「仕分け作業」が、その後の運命を決定づけると言っても過言ではありません。
やってしまった痛恨のミス
普段はあまり失敗することはないのですが……今回、やってしまいました。 ギラファノコギリクワガタのオスの幼虫を、メスだと勘違いしてしまったのです。
「あ、これはメスだな」と判断し、小さな容器(メス用)に入れて管理を続けてしまいました。 そして先日、羽化してきた個体を見て愕然としました。
それが、これらの写真です。

容器のサイズ=可能性のサイズ
いかがでしょうか。 ギラファノコギリクワガタといえば、世界最長のクワガタとして知られ、うねるような長いアゴが特徴です。しかし、この個体は小さな容器に合わせて成長が止まってしまったため、アゴも伸びきらず、全体的にこぢんまりとした姿になってしまいました。
遺伝子は同じでも、「育つ環境(容器の大きさ)」が違うだけで、ここまで最終的な姿に差が出るのです。こういった事はとても興味深い事例だと思います。昆虫ショップで生体を買ってくるだけでは気が付けない学びです。
ブリード経験のある方なら、「ああ、あるある……」と共感していただける痛みではないでしょうか(笑)。 もちろん、この子も一つの命として大切に育てますが、「もっと広い世界(大きなボトル)を見せてあげれば、もっと立派な王者の風格になれたのに」と申し訳ない気持ちにもなります。
来期のイベントに向けて
今回の失敗は、ある意味で「環境の重要性」を再確認する良い機会になりました。 来期のイベントでは、この失敗をバネに、しっかりと大きなボトルで育て上げた「図鑑そのままの迫力あるギラファノコギリクワガタ」を皆様にお見せできるよう、選別と管理を徹底していきます!
イベントでの展示を楽しみにしていてくださいね。イベントにはこういうのを出します!

